物価上昇が続いています。帝国データバンクのレポート「「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年4月」によると、4月の飲食料品の値上げは4,225品目にも及ぶそうです。賃上げの声も聞こえてきますが、急激な物価高に追いついていないのが実情ではないでしょうか。

すぐに収入を増やすことが難しい中では、支出をコントロールしていくしかありません。しかし、何にいくら使っているかを把握するのはなかなか大変です。総務省が公表した2024年の家計調査の結果を参考に、我が家の消費支出の課題を把握してみたいと思います。

ポイント
  • 総務省は毎月家計調査を実施しており、世帯ごとの家計収支状況が確認できる
  • 自世帯と近い家計調査の結果と自世帯の支出を比較することで課題が発見できる
  • 今後のライフイベントを見据えて対策が必要かを検討する

1. 家計調査

家計調査は世帯の収入や支出などを調査して、国民生活の実態を把握する調査です。総務省が毎月実施しており、国の経済政策や社会政策の立案に活用されています。

3月11日に「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」が公表されているので、まずはその結果のうちの消費支出の部分を見てみます。

調査対象には、無職世帯、個人営業などの世帯、勤労者世帯が含まれています。我が家の状況との比較においては、平均で見てしまうと実態と離れてしまうので、家族を持つサラリーマン世帯として、「二人以上の世帯のうち勤労者世帯」の支出状況を確認してみます。ちなみに、二人以上の世帯の消費支出は1世帯あたり1ヶ月平均300,243円であるのに対し、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の消費支出は1世帯あたり1ヶ月平均325,137円となっています。

この325,137円というデータは二人以上世帯の全体が平均化されているので、世帯人数に応じた消費支出を確認したくなります。政府統計ポータルサイトである「e-Stat」に家計調査の結果をさまざまな角度から分析したデータがあるので、そのデータを確認してみます。その中にある世帯人員別のデータは以下のようになっています。

世帯人数ごとの消費支出
  世帯人数
 平均 2人 3人 4人 5人 6人以上
 消費支出計325,137299,117318,904345,089361,240357,912
 1 食料87,95476,01085,61696,023104,580113,808
 2 住居19,05524,40519,56415,39412,40811,168
 3 光熱・水道22,75620,30523,11923,52025,87429,667
 4 家具・家事用品13,16112,70513,46212,97914,38612,646
 5 被服及び履物11,5859,37010,86213,72814,05113,709
 6 保健医療13,81413,96114,02413,63113,48912,512
 7 交通・通信50,02847,27448,01252,35258,20151,435
 8 教育18,4561,35316,51032,34933,94335,061
 9 教養娯楽31,64429,55229,18834,82636,08034,627
 10 その他の消費支出56,68564,18258,54650,28748,22843,280

世帯人数が増えると食料品の支出が増えているのが見てとれます。居住費が2人世帯が高くなっているのは賃貸の割合が高いからでしょうか。また2人世帯では子供がいない方が多いので、教育費が低くなっています。

ちなみに消費支出以外の支出として税金と社会保険料を合計した非消費支出が定義されています。収入から非消費支出(税金+社会保険料)を引いたものが可処分所得と呼ばれます。家計調査の結果から、「二人以上の世帯のうち勤労者世帯」の家計収支は以下のようになっています。

二人以上の世帯のうち勤労者世帯

家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」から引用

収入については賞与等を含めたものを12等分して1月あたりに換算しています。これを見ると1月あたりの黒字が20万円弱、年間にして240万円弱の黒字になっています。

2. 家計調査の結果と自分の支出を比較する方法

家計調査のデータは総務省の統計表一覧から誰でも入手できます。「二人以上の世帯のうち勤労者世帯」のデータを基準に、自身の支出状況と比較する手順を説明します。

比較の手順
STEP1
自分の世帯に近い分類を家計調査から選ぶ

世帯人数・勤労者世帯かどうか等で選択

STEP2
自分の月次支出を費目ごとに集計する

家計簿アプリ・クレカ明細等を活用

STEP3
家計調査の費目別構成比と自分の支出構成を並べて差異を確認する

費目別に差異の大きいものを把握

STEP4
見直し余地があるかを検討する

差異が大きい費目について、生活実態に合っているかを考え対策

ステップ2は、概算でも構わないと思います。できれば年間支出をもとに、月次支出を割り出すと良いと思います。

3. 家計調査の比較から見えてくること

家計調査との比較で差異が見えたとしても、それがすぐに「削減すべき支出」とはなりません。世帯の構成・ライフスタイル・地域によって適正な支出水準は異なります。

重要なのは、現在の支出が今後も続いた場合に退職後も賄えるかを試算することです。公的年金・配当・その他収入の見通しを合わせて「毎年の収支差額」を把握することで、金融資産をいつまで保たせる必要があるかが見えてきます。家計調査との比較はその出発点となる「自分の支出実態の把握」を助けてくれます。

まとめ

家計調査の内容と、自分の消費支出を家計調査の結果と比較する方法について解説しました。皆様も同様な手法で比較を行い、課題を考えてみることをお勧めします。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

執筆者プロフィール

粕谷英雄
サマーオーシャンコンサルティング

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者としての知見をもとに、お金に関する意思決定を支援。制度の仕組みや背景、資産形成の考え方を整理して発信しています。