年金制度改革で議論の一つとなっていた「基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了」について、2025年5月に年金改革関連法が成立し、結論が出ました。この改革案そのものは次期財政検証(2029年予定)の結果を踏まえて判断することとされ、それまでの間は厚生年金のマクロ経済スライドも2030年まで継続されることになりました。

本記事は法案審議前の2025年4月の状況を記録したものです。当時の議論の背景を理解する上での参考としてお読みください。

ポイント
  • 2025年5月成立の法により、マクロ経済スライドの早期終了案は次期財政検証(2029年)の結果を見て判断することが確定した
  • 基礎年金の財政問題については先送りせず抜本的な対策が必要

1. 「基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了」とは?

年金制度改革の論点については、7回にわたり本ブログで解説を行いました。

この中で一番最初に取り上げた論点が、「基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了」についてです。詳細については①の投稿を読んでいただきたいですが、簡単にいうと基礎年金の財源不足を国庫負担と厚生年金の積立金を活用することによって補うことで、マクロ経済スライドを早期に終了させるとともに将来の給付水準を上げていく案になります。

長い目で見ると厚生年金加入者である会社員も恩恵を受けますが、一定期間厚生年金が減額されることと、国庫負担の財源問題から批判も出ていた案です。

ニュースによると、この案については2029年に予定されている次期財政検証の結果を踏まえて判断することとし、それまでの間は厚生年金のマクロ経済スライドによる調整も継続するようです。

2. 先送り確定を受けての考察

基礎年金の財源不足問題は深刻です。本来は先送りせずに何らかの対策をとった上で、マクロ経済スライドを早期に終了させないと、年金給付額が物価上昇についていけずに乖離が広がってしまいます。

基礎年金の給付水準を保つ最も自然な対応は、拠出期間の65歳までの延長だと思います。この本質的な変更を行なった上で、短期的に厚生年金受給額が減額されてしまう部分も含めた財源確保を早急に進めて欲しいというのが素直な感想です。

まとめ

年金制度改正の論点の一つであるマクロ経済スライドによる調整の早期終了の先送りについて意見を述べさせていただきました。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

執筆者プロフィール

粕谷英雄
サマーオーシャンコンサルティング

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者としての知見をもとに、お金に関する意思決定を支援。制度の仕組みや背景、資産形成の考え方を整理して発信しています。